「ちょっとしたことですぐイライラしてしまう。怒りを抑えられず感情的に行動してしまい、後になって後悔することがある。簡単に怒りを抑える方法を教えてください。」
こういった疑問にお答えします。
本記事の内容
・そもそもなぜ怒りが生まれるのか?
・怒りに対する対処法
突然ですが、「価値観の違う相手とのコミュニケーションでイライラしてしまったこと」はありませんか?
実は、誰でも怒りを抑えられる方法が存在します。
なぜなら、怒りを生み出す原因について、明確な理由があるからです。
その理由を正しく理解し、本記事でご紹介する方法を実践すれば、誰でも怒りを抑えることができます。
本記事の信頼性
私は、若手社員の人材育成を3年間担当し、コミュニケーションに関する悩み解決をサポートしてきました。
また自己スキルアップのため、コミュニケーション関連の書籍を年間30冊ほど読んでいます。
もともと私は、超がつくほどの「せっかち」でして、自分の思うように物事が進まなかったり、相手とうまくコミュニケーションがとれなかったりすると、すぐイライラして愚痴を言ってしまう人間でした。
しかし、そんな私でも、本記事でご紹介する方法を実践するようになったことで、どんな時でも怒りを抑えることができるようになりました。
自分の感情とうまく付き合えるようになったため、価値観の違う相手ともうまくコミュニケーションがとれ、良い人間関係が築けるようになりました。
本記事では、誰でも怒りを抑えることができる方法について解説します。
この記事を読むと、価値観の違う相手とうまくコミュニケーションする方法を学べるため、建設的な関係を築けるようになり、人生が好転するようになるはずです。
参考書籍
そもそもなぜ怒りが生まれるのか?
怒りは何のためにあるの?
そもそも怒りとは、心身の安心・安全を守るために人間にとって必要な感情です。
自分の生命や家族が危険にさらされたり、大切にしている価値観や立場が傷つけられたり、自分の思い通りにならなかったりしたときに、怒りという感情を使って、危険から大切なものを守ろうとするのです。
例えば下記のような場面。
・駅のホームに降りようと階段を入りている際に、後ろから走ってきた人にぶつかられて階段から落ちそうになったら「あぶないじゃないか!」と怒りを思える
・自尊心を傷つけられるようなことを言われた時、感情的な対応をしてしまう
「コアビリーフ」が怒りを生んでいる
怒りを生む原因は何か。
それは「コアビリーフ」が怒りの感情を生んでいます。
「コアビリーフ」とは「〜べき」という言葉で表現されること。
自分にとって譲れない価値観、信条、信じているものを指します。
「べき」という言葉で表される自分のコアビリーフが破られたときに、怒りが生まれるのです。
「コアビリーフ」の例は下記の通り。
・会議の集合時間は守るべき
・知り合いにあったら挨拶すべき
・飲み会で先輩社員に奢ってもらったら、次回会った際にお礼を言うべき
自分にとって譲れない価値観、信条を破られる時、怒りという感情を使って、自分の心身の安心・安全を守るのです。
「コアビリーフ」について知っておくべき3つのポイント
自身のコアビリーフが分からないと、ふとした出来事で突発的に怒りが生まれ、自身でコントロールできず感情的な行動をとってしまいがちです。
ですが、コアビリーフについて理解しておけば、怒りに対する心構えができ、怒りを抑えるきっかけになります。
理解すべきポイントは下記3点。
①:べきに正解・不正解はない
②:人によって程度の度合いが違う
③:時代や環境によって「べき」は変化する
ひとつずつ見ていきましょう。
①:べきに正解・不正解はない
人それぞれに様々なコアビリーフを持っているので、どの人のコアビリーフが正解・不正解ということはありません。
自分と他者で持っているコアビリーフは違うのだと、まず理解するようにしましょう。
②:人によって程度の度合いが違う
私たちは曖昧な言葉で「べき」を表すことが多いです。
・ちゃんと報告するべきだ
・しっかり段取りをするべきだ
ちゃんと、しっかりという言葉はどのくらいのレベルを指すのでしょうか?
イメージする程度は人によって異なります。
そのため、自分がイメージしている「ちゃんと」と相手の解釈した「ちゃんと」に食い違いが生まれ、更なるトラブルが引き起こされることも少なくありません。
抽象的な言葉を自分の都合で勝手に解釈せず、相手が指すレベル感はどのくらいかを考え、必要に応じて相手に確認しましょう。
③:時代や環境によって「べき」は変化する
働き方に関する価値観も時代によって変化しています。
昔の新入社員は、「部下は上司より早く帰るべきでない」「育休は女性がとるべき」と言う考え方が一般的だったかもしれません。
働き方改革の言葉がよく聞かれるようになり、近年はそれが一般的ではなくなってきています。
時代の変化に応じて「べき」は変化するもの、ということを頭に置いておきましょう。
怒りを生む3ステップ
怒りはすぐに生まれるわけではなく、生まれる際に前ステップが存在します。
<怒りを生む3ステップ>
出来事→意味づけ→怒り
ここで重要なのが、「意味づけ」のステップ。
何か出来事が起きた後、人は怒る前に必ず「意味づけ」を行っています。
具体的に、怒りが生まれる前には、不安・心配・悲しみ・虚しさなどがあります。
怒りは第二次感情、不安・心配などは第一次感情と呼ばれており、怒りの前に第一次感情が潜んでいるのです。
そこで、怒りをストレートにぶつけるのではなく、怒りの前に潜む第一次感情を素直に表現することで、建設的な会話ができるようになります。
具体的には下記2点を相手に伝えましょう。
・こうしてほしかった
・いまこう感じている
怒りではなく、相手に適切にリクエストすることがポイントです。
あなたのちょっとした意識が、相手を動かすきっかけとなる
怒りの感情を抑えながら相手に適切にリクエストするのは、なかなか簡単にはできないかもしれません。
でも、だからこそ意識して訓練してやれば、今までとは違った反応を相手がしてくれるようになります。
怒りの前に潜む自分の感情を把握し、相手にしてほしいことを相手に伝わるようにリクエストしましょう。
怒りに対する対処法
怒りに対する対処法として、「とっさの対処法」と「長期的な改善法」の2種類が存在します。
とっさの対処法:
怒りに任せて行動しないテクニック。
カーッときたときに怒りに任せて暴言を吐いたり、暴力的な行為をしないための短期的な取り組みを指す。
長期的な改善法:
長期にわたって取り組むこと。
怒りにくくなる体質改善のトレーニングを指す。
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
とっさの対処法
「怒りが生まれてから理性が働くのに6秒かかる」と言われています。
この特性を活かし、6秒をやり過ごせるようになるテクニックが「とっさの対処法」です。
下記3つの方法があります。
①:怒りを数値化する
②:心が落ち着く言葉を言い聞かせる
③:深呼吸する
ひとつずつ見ていきましょう。
①:怒りを数値化する
怒りを感じたら、その怒りが0〜10の値のうち何点だったかのかを頭のなかで数値化するという方法です。
<怒りの採点表>
0点:全く怒りを感じていない状態
1〜3点:イラッとするがすぐに忘れてしまえる程度の軽い怒り
4〜6点:時間が経っても心がざわつくような怒り
7〜9点:頭に血がのぼるような強い怒り
10点:絶対に許せないと思うくらいの激しい怒り
ポイントとして、点数をつけることで意識を向けている間は、怒りに任せた行動ができないことが狙いです。
②:心が落ち着く言葉を言い聞かせる
怒りが湧いた時に、心を落ち着かせる言葉やフレーズを思い浮かべて、自分に言い聞かせます。
例:なんとかなるさ、大丈夫
怒りを感じた瞬間に心穏やかになる言葉を考えるのは難しいので、事前にいくつか言葉を選んでおきましょう。
③:深呼吸する
怒りを感じたら深呼吸するのも効果的です。
怒りを感じているときは、自律神経のなかの交感神経が優位になります。
一方、深呼吸をすることのメリットは、副交感神経が優位になること。
結果として、心が安定するという効果があります。
深呼吸の目安は、1分間に4〜6回。吸って吐くまでが10〜15秒。
4秒で鼻で吸って、倍の8秒くらいかけてゆっくり口から吐くのが目安です。
長期的な改善法
次に、長期にわたって取り組むことで、怒りにくくなる体質改善のトレーニングを紹介します。
具体的な方法は下記3点。
①:アンガーログ
②:ストレスログ
③:生活習慣を整える
ひとつずつ見ていきましょう。
①:アンガーログ
怒りを感じた時に、そのことを記録する習慣をつける取り組みです。
日時、場所、どんな出来事があったのか、その時に思ったこと、怒りの数値を記載します。
ある程度続けることで、自分の怒りのパターンがわかるようになってきます。
書いている間は自分の怒りを俯瞰できるため、怒りの渦中に身を置くことなく、客観的に怒りと向き合えるようになります。
②:ストレスログ
自分のストレスをカテゴリ分類して、解決法を見つける取り組みです。
やり方として、下記2点の軸で4つの領域に怒りを分類します。
・自分が何か行動することで、この状況はコントロールできるのか・できないのか(変えられるのか・変えられないのか)
・自分にとって重要か・重要でないか。
変えられないことは「変えられない」と受け入れて、現実的な選択肢を探す。そして、変えられることにフォーカスして取り組みます。
また、そもそも自分の人生のなかで重要か重要でないかもしっかり見極めます。
③:生活習慣を整える
体の具合が悪いときはイライラしやすい、といった経験はないでしょうか。
ゆっくり休んで、しっかり食べて、ぐっすり寝て、健康に気を付けることも、怒りを抑える効果的な方法となります。
・適度な運動
・十分な睡眠
・暴飲暴食しない
基本的にストレスを溜めない環境を作ること。
これも怒りにくくなる体質改善の効果的な方法となります。
まとめ:怒りを味方につけて、相手と建設的な関係を築こう!
今回は怒りを抑える方法について、ご紹介してきました。
「べき」という言葉で表される自分のコアビリーフ(自分の価値観)が破られたときに、怒りが生まれます。
また、怒りは第二次感情、不安・心配などは第一次感情と呼ばれており、怒りの前に第一次感情が潜んでいます。
怒りをぶつけるのではなく、第一次感情となる「不安・心配・悲しみ・虚しさ」を素直に表現することで、建設的な会話ができるようになります。
怒りに対する対処法として、「とっさの対処法」「長期的な改善法」の2つを紹介しました。
・とっさの対処法:怒りに任せて行動しないテクニックのことで、カーッときたときに怒りに任せて暴言を吐いたり、暴力的な行為をしないための取り組み
・長期的な改善法:長期にわたって取り組むことで、怒りにくくなる体質改善のトレーニング
とっさの対処法で短期的に怒りを抑える訓練をしつつ、長期的な改善法でご自身の「コアビリーフ」を把握して解決法を見つけ、怒りにくくなる体質改善に取り組みましょう。
参考書籍
本記事をきっかけに、他者と建設的な関係を築けるようになり、人生が好転する方が増えたら嬉しいです。
今回は以上です。